■ [番外] 雲雀丘学園のC56     [目次ウ ィンドウ]   [目次]

寺畑2丁目の西隣に、雲雀丘学園という幼稚園から高校までを擁する私立 の学校がある。宝塚市の所在であり本稿の範囲からは逸脱してしまうので、以下の話題は 「番外編」とさせていただく。

昭和49年、ちょうど世の中は「SLブーム」の真っ只中だったのだが、こ の学校でも創立25周年記念行事の一環として本物の蒸気機関車を生きた教材として購入し ようという話が持ち上がり、C56 111号機を小学校校舎の裏手で静態保存すること が決まった。翌年初頭、大阪の業者(定かではないが九条の「共永興業」ではなかったか と思う)を経て無事搬入され、今日までたくさんの子供の成長を見守り続けているのであ る。

さて、このお祭り騒ぎの余録として、当時この学校の5年生であった筆者 を含む生徒達にも思いがけない特典があった。一つはテレビの番組出演で、この保存機の 取材のみならず、開館間もない梅小路機関車博物館を訪れての撮影も組まれていたので、 遠足気分で梅小路の蒸機を見物することができた。もう一つは、この保存機の掃除である。 普段は柵があって閉鎖されていたのだが、「SL掃除」の当番が回ってきた時は大手を振 ってこの子供にとっては巨大な機械を自分達の遊び場とすることができた。もちろんあま りよじ登ったりすると叱られるのだが、ランボードやテンダーの上での落ち葉掃きは楽し かった。また担任がSL好きの先生だったので、何人かでせがんで放課後に入れてもらっ たこともあった。

C56という形式は特定の簡易線用に設計されたものであり、特に福知山線 で使用されたという記録はなく、このカマも例外ではない。昭和12年三菱重工製で、島根 の木次線を経て戦後は長野・新潟の飯山線で主に働いていたものである。昭和47年3月19 日、飯山線の蒸機列車廃止に伴う記念運転の際にはC56129と重連を組んでお別れ列車の先 頭に立った。その後短期間九州の吉松に移籍し、同地で廃車となった。飯山線といえば豪 雪地帯であり、つい最近Nゲージの模型が(今はなき)乗工社からツララ切りを付けた特 異な姿で発売されたので、その再現された働き盛りの頃の姿を見かけられた方も多いので はないだろうか。下の写真では御召機に準じた端正な化粧を施されており、九州の僚機 91,92号機を彷彿とさせる。なお、静態保存とはいっても、火を入れて蒸気を上げること はできるようにしてあったと思う。さすがに20年以上経った現在ではどうか分からないが、 先日阪急電車からちらっと見かけた限りではどうやら屋根付きになって大切に保管されて いるように伺えた。

正面

C56111正面 御披露目式にて(1975冬)
D校長が祝辞を述べておられるところ。雪の舞う寒い日。
ちょうど正面が新館への渡り廊下になっていて、その2階あたりから撮ったもの。
なお、右手が阪急の線路に当たる。

公式側

(同上)

非公式側

(同上)

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