■ 奄美屋 ED45 11 (Kit)

地域密着の模型ばかりでは少し息苦しくなることもあります。ちょうど今暑い盛りですし、テーマとまったく関係のない、涼しい地方の珍しい車輌でひとつ気分転換を図ってみましょう。

仙台と山形を結ぶ仙山線の昭和30年交流電化試験の時、初の交流電機であるED44に続いて登場した試作交流機関車がED45です。ED44が交流電動機を持つ直接式であるのに対し、こちらは整流器(水銀整流器)を通して直流電動機を回すものでした。
電機メーカー3社がそれぞれ外観・装置ともに少しずつ異なった機関車を製作し、実験に供しました。三菱製のED451、東芝製のED4511、日立製のED4521の3機で、いずれも後にED91に改番されています。大手各社が当時の強電機器技術の粋を競い、作並あたりに集った様子を想像するだけでなかなか興味深いものがあります。(ちなみにED44は1形式1機のみで日立製。後のED90。)
この奄美屋製品のモデルとするED45 11は東芝製で、飾り気のない箱型・デッキ付きという点は同じですが、ED451に比べて裾が長くなっているのが特徴です。ED4511は利府の公園に、ED4521は利府駅構内に保存されているということです。

なぜ全く馴染みのない機関車を手に入れようと思ったのか(仙山線には行った事もありません)自分でもちょっと不思議ですが、この裾が長くてのっぺりとしたスタイルと老人のような顔付きに何故か一時期ふらっと来てしまったようです。ED451(カワイモデルのロングセラー製品あり)であったら特に欲しいと思わなかったと思います。

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まだ多分、交流電機の標準色というものは無かったと思いますので、好みの赤で塗っています(紫がかった深い赤という記述を見かけたことがありますが)。これはグンゼアクリルのレッドとクリアーレッドを約1:1で混合し、少しの白で調整したものです。帯の色とデッキ部の塗り分け位置も保存機のものとは異なりますが、僅かに残る資料から判断して多分オリジナルはこうではなかったかと想像します。

特別の思い入れがない分、あっさりと作ろうという方針でしたが、前面の継目を綺麗に無くすこと、形状の違うヒサシを整形すること、屋上の碍子台などの裏をヤスって屋根の傾斜に合わせることなどには注意を払いました。それ以外のディテールアップ、例えばデッキの油ツボ(イモ付け)、警笛(省略)、発煙筒(挽物のまま)、高圧回路のディーテールや吊りフック(省略)などは手を加えませんでした。これらはこの製品の個性・素朴さと思っています。空気遮断器周辺の精巧さのみ目立っており、一点豪華主義といえるかもしれません。ただ、全真鍮製というこだわりがあるようで、床下の簡素な機器箱までロストワックスなのには驚きます。

(パンタの上げ方を逆にして撮るべきでした。)

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運転室の窓から縦置きモータが見えてしまっていますが、そのうち紙でも巻いておくつもりです。このモータの下は伝統的なインサイドギアで、片台車2軸駆動です。但し、歯車がデルリン(?)製で静粛化が図られています。
こうして見ると何か外国の機関車のようです。

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キット付属の保存機写真によると、屋根上も車体と同色になっています。
特別高圧回路は付属写真でも部分的にしか解らないのですが、パンタグラフからの線を角線で、断路器の先部分は細いLアングル材としました。碍子にはエポキシ接着剤で固定しています。なお、これらは「めっき工房」(ホビー用メッキ装置)の試験を兼ねて銅メッキを施してみました。

碍子はすべて上からビスで止めるようになっていますが、下からナットで止めるような設計の方が良かったのではと思います。

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台車はドロップ製の側枠にロストの砂箱・ブレーキシリンダー・ブレーキシューを取り付けるものです。位置が決まらず少し面倒です。

ED45 11 データ

(2001.7.完、2001.7.18記)



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