■ フジモデル ナハ10試作型

数年前、ナハ10を作ろうとフジモデルの「ナハ10」のキットを買い求め、一度は完成させたのですが、いろいろと気に入らないところがありバラしてしまいました。再度組み立てているうち、鉄道ピクトリアルで10系客車の特集があり、初めて見たナハ10試作型のカラー写真に新鮮さを覚え、再び妻板を外して追加工などの後、ようやく完成しました。

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この試作型は、機芸出版社の「日本の車両スタイルブック」にも図面が掲載されていて、先のピクトリアルの記事と合わせて比較的資料には困らない車両といえます。他にも、試作型の図面はありませんが「軽量客車明細図集」(鉄道資料刊行会)なども床下の参考にしました。資料から得た情報を元に量産型との差異を出すため、以下のような加工を行っています。

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試作型という点を除いて考えても、このキット組み立てのポイントは、(1)雨樋の高さ、(2)乗降口周辺の取り付け、(3)洗面所の反対側の妻板・乗降口・側板の接続、などであろうかと思います。(1)は、イメージが大きく変わってくるので写真などでよく確認する必要があります(説明書には28.7mmとあり私もそれに従いましたが、少し高かったような気がします)。また、オハ35などと並べて見ることも有効と思われます。(2)はそのまま組み立てるとL字型のステップが下に飛び出るだけで両脇が空いてしまいますので適当な帯板で囲いを付けたという点、および、ドアの寸法なのですが、どうもドア窓が低くなり過ぎるようです。代替品もないのでそのままにしてあります。(3)は別にどうしようもないのですが、接続部が狭い袋状となるため、組み立てる上で要注意です。私は妻板と乗降口の間に角線を挟んだ後外からハンダ付けしました。(さらに手すりのことも考えなければなりません。)
その他、窓回りにもっと鋭くテーパーが付いていれば言うことがないのですが、ヤスリで均一に再現する腕もないのであきらめています。プレスで表現するのは難しいのでしょうか。

その他のディテールとしては、エコーモデルの端梁セットから扉取っ手に至る定石パーツを用いると共に、妻のテールライトフックと床下の蒸気溜にニワのロストパーツを使用、さらに天賞堂のプラ椅子で室内をそれらしく作ってみました(椅子の色はピクトリアルの写真が参考になりました)。標記類はデルタモデルのインレタを使用しています。困ったのは銘板類ですが、だるまやのものはサイズが大きいのか、補強材の間に2つ入ってくれません。1/87のものもあまり大きさは変わらないのですが、何とか少し削ったり補強材の位置を変えたりして2個並べることができました。10系軽量客車の特徴である窓のサッシですが、キットの窓枠は最初の分解時に変形してしまったので、下部だけを表現する銀塗装帯板に替えました。窓セルとは面一となっています。結果的に窓ガラスが奥まるよりも良かったかもしれません。塗色はマッハの艶有りブドウ2号に阪急マルーンを少し加えた明るめの色調としました。屋根などはグンゼの銀色をそのまま使用しました。

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床下はキットの器具取付座は使用せず、直接床板に配置しています。キーストンプレートは表現していませんが、横梁のみを角線でそれらしく再現してみました。その上に高さに注意して器具を取り付け、パイピングを施しています。器具の台座は適当な端材を使用しましたが、電池箱などは左右で吊り下げている感じを出してみました。

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今回車番を借りた1は、1955年川崎車両製で品川客車区に所属、量産車が登場すると901に改番され、電気暖房改造でさらに2901となり、最終配置は名古屋でした。次の機会には福知山線にもたくさんいた量産型の青いナハ10(かナハ11)にしたいものです。(1999完, 2001.3.22記)



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