■ DD54六次型(ムサシノモデル Kit)

数年前、ホビーショップモアとの(意図しない?)競作で話題となったムサシノモデルDD54の、キット組上げ品です。
例のごとく完成品販売が主の製品なので、キットの説明書は最小限のことしか書かれていませんが、床下について交通科学博物館の保存機を詳細に見ておけば、他に困るようなことはありません。むしろ、構成としては単純な方かと思いますので、楽しんで組み立てることができました。

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ボディーが左右から前面の鼻先まで回り込んでいて、鼻筋の所でつき合わせて止めるようになっていますので、極めてシャープなエッジが得られます。但し、あらかじめ断面を斜めにヤスってぴったりと合うようにする必要はあります。同じことが、別パーツ(エッチング)の運転室窓と側面との接合部にも言えます(長丸窓後部)。

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側面ルーバーはプレスパーツです。昔の珊瑚の製品はここをプラスチックにしていたと聞きます。また、モア製品はロストワックスです(ムサシノも1次型はロストのようです)。私見ですが、ここはこのムサシノモデルの方法がベストではないかと思います。実物ではルーバー部分を取り囲むように立ち上がった薄い枠があって、他の製品ではこれが再現されているのですが、スケールから言ってこれが目立ちすぎるために、却ってルーバー部分のサイズが小さく見えて側面の印象が変わってしまうというのが、その理由です。ムサシノモデルの表現は、控えめですがツボを押さえていて、印象が実車に近くなっている気がします。
以前、OJゲージのモデルでルーバーの一枚一枚を帯板で表現されているものがあり、16番でも可能かも、といったことが書かれていました。とても真似できるものではありませんが、方法を考えるだけでも一興です。
このパーツは、取り付け前に裏側の周囲をできるだけ薄くヤスり、側板に密着させるようにしました。

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横梁につく配管は(写真では見えませんが)、奥の方のものが梁と一体ロストパーツとなっているのが特徴的です。前面に出て目立つパイピングだけをその梁に後付けするという構成で、いかにも完成品主体らしい構成です。
動力台車DT131Eは揺枕側部を台枠に固定し、それ以外の部分が独立して動作可能になっています。この台車のバネは一体形成ではなく、コイルを使った表現です。

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前面2枚と隅柱に付く長丸窓のみ、Hゴムがうまく浮き出た印刷済みの窓セルが付属しています。このため、窓ガラスがほぼ車体表面とツライチになり、好印象を生み出しています。どうせならその横の台形の窓と機械室窓にも同様のパーツを用意して欲しかったと思います。(実車を斜めから見ると、窓ガラスは決して奥まってはおらず、むしろ膜を張ったように綺麗に出っ張っているのが目立ちます。)
これら窓セルのない所はプレスの抜きっぱなしだったので、0.25線でHゴムを追加しました。さらにアクリル板をうまく凸型に削ってはめ込みにしようと試みたのですが、思ったような効果が出ないので、片側だけで中断しています。
なお、乗務員ドア窓とそのすぐ横の窓はそのままで問題ありません。

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塗装は簡単な部類なのでしょうが、朱色を出すのに苦労しました。記憶する色も、また保存機に塗られている新製のような色も、マッハの朱色4号よりはかなり赤い感じです。マッハの朱色は私の個人的な感覚では、DF50を想起させる色かと思います。そこで、特急色の赤を少しずつ混ぜ、時間をかけて調色しました。が、これら赤系統の色は、塗りたてと1日後、更に数日後と結構変化してなかなか落ち着きません。結局最初に塗った色は赤すぎたので、塗り直しています。
屋根上は明るめの灰色ということで、グンゼの三菱明灰色としました。帯は磨き出しです。
完成品でも屋根上はグレー一色ですが、実車を見るとすす汚れを差し引いても内側が黒塗装のように見えます。しかし、黒色で塗ってもおそらく同じ感じには出来ず、むしろ玩具っぽくなりそうです。かといって灰色のままだと上品なのですが少し生命感がありません。かなり悩んだ末、ウェザリングブラックを煙道やファンの周囲にまぶすことにしました。しかし一部でもウェザリングを入れるとバランスを取るためにかなり広範囲に渡らせてやる必要があります。なるべく濃くなり過ぎないように、グラデーションを利かせるようにと注意しましたが、あまりお見せできるようなものではありません。

なお、DD54実車の形式写真が多数掲載されている資料として、TRAIN No.272(1997-8)があることを付記しておきます。

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(1998製作, 2001.7.13記)

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