■ マイクロキャスト水野 C11二次型 (Kit)

これは初めて組んだ蒸機です。最初はやはりタンク機あたりからと考え、ちょうど出たマイクロキャストのC11を店頭でほとんど衝動的に予約してしまったのですが、入手後すぐに取り掛かり、3ヶ月ほどで組み上げたものです。
重見式給水暖メ器なし、ATSなし、昭和30年代頃の二次型を念頭におき、また実機にはあまり馴染みがありませんので、発売を待つ間に梅小路の64号機の取材も行いました。

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説明書など親切にできており(痒いところに手が届くという程ではありませんが)、また完成品のバラ状態ですから素組みであればほとんど問題なく組み上がりそうです。しかし、私の購入した一・二次タイプでは一次用に穴の開けられたボイラーが入っているので、ほとんどの穴(給水暖メ器用)を埋めて新たに異なる配管用の穴を開ける必要がありました。
配管も全て折り曲げ済みで入っているので圧倒されますが、その使用法まではもちろん書かれていませんので、結局どれをどこに使うか判断に苦しみ(一次形ならそうでもなかったかもしれません)、全て自分で新規に折り曲げることになりました。
その他、細かいことですが、ボイラーのテーパー部分がリング状の挽き物になっていて前後の径の違う部分を接続する構成になっているのですが、この部分のリベット表現が途切れているのは少し残念です。また、シリンダーのピストン中心を外へ少しオフセットさせてありますが、そのお陰で左右間隔が広がっているのはもっぱら走行性能を向上させるためのようで、シリンダケースの傾斜はやはり16番的(?)でしょうか。私はガニ股よりもこちらの方が気になります。

このキットは、雑誌「TRAIN」に製作記事が連載されましたが、それよりも早く製作したため参考にすることはできず、専らカツミの同機を組んだ昔の記事(TRAIN 1994-5)などを参考にしました。
同記事(後者)では、煙室前面の手すりに割りピンを使ってオーバースケールとなるのを回避する方法などが書かれており、私もそれに習いました。ニワのハンドレールノブなどかなり頭が小さいのですが、それでも大型機以外では数珠のように見えてしまうと思います。ここではNゲージ用の銀河の割りピン(N-049)を使用しました(極細なので各所で愛用しています)。

ロストパーツがふんだんに使用されていますが、ニワなど普段使うものと比べて腰が弱く折れやすかったので泣かされました。デッキの手すりも加熱中に根元が折れたので珊瑚の挽物に交換しました。

このキットを組んでいた頃から、エコーモデルより蒸機に使える汎用細密パーツが色々出てきましたので、配電管継手、空気作用管用の六角ユニオン、尾灯などを援用しています。この配電管継手など目が痛くなる微小パーツが含まれています。これら微小パーツは、軽いせいか誤ってはじいてもあまり遠くまで飛ばないので助かるといえば助かりますが、やはり拡大鏡を使用するような作業環境でなければ本当の意味では使いこなせないのかも知れません。

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適度な繊細さと重量感があります。形式入りナンバープレートだとややアンバランスでしょうか。ライトレンズが未装着です(キットには入っていませんでした)。

さて、配管ですが、これは梅小路の保存機を基準にしています。
下回りでは、組立済フレームについているキャブ下の荷重受が配管に干渉しますので、キャブ床板の方に移設してから配管を行いました。従って配管は全て上回りに付くことになり、すっきりします。
保存機では公式側の水管にも取水管が接続していますのでそれに倣い、また非公式側もインジェクターの配置を保存機に合わせています。空気関係はあまり問題にはなりませんでしたが、エアタンク脇の放熱管はさすがに一回り大きい径(実寸は忘れました)に変え、支えもロスト部品(よく出来ていましたが整形中にやはり折れました)から帯板に変えました。また、空気分配器はそのまま付けると上すぎて存在感がないですので、台を作って下げてあります。この回りの配管は細かすぎますので目立つものだけにしてあります。

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公式側配管など。キャブ窓は半開にするべきでした。
所属のインレタを貼るのに手間取り、失敗して消したままです。

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助士側配管

ボイラーに付く配管は給水暖メ器やATSがない分、やや簡素で写真の通りです。発電機の排気管はマフラーの上の穴に挿すようにし、そこから後ろをキャブ屋根に固定してあります。給油ポンプから整然と出る油管は面白いディテールになりますので、面倒ですがφ.25線で追加しました。これは長めに切って並べた線の一端をハンダ付してから反対側を所定の位置に来るよう曲げれば楽にできます。

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火室上のパイピングは上より汽笛引棒、ブロワー、電線管、調圧器作用管、コンプレッサー給気管。

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オイルポンプまわり

定石通り塗装後に空気作用管を磨き出した後、全体にウェザリングブラックを擦り込みました。下回りの銅管にはハンブロールのcopperを筆塗りしてあります。作用管以外の金色も筆塗りです。キャブ内部には適宜マスキングの上淡緑色を吹き、細部の色入れを行いました。

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走り装置はさすがによく出来ています。動輪支持は軸バネ方式です。モーターはキャノンCN1630が付いていましたが起動トルクが欲しいのでファウルハ―ベル1717Dに交換しました。幸いブラケットも無加工で取り付けられ、ウォームと逆側にフライホイール(だるまやφ15x11)まで付ける寸法的余裕もありました。ピストン尻棒は取り外し式としました。

98号機にしたのは、吹田一区のC11で二次型、かつナンバープレートが容易に入手できることという条件を全て満たすからでしたが、同時に作られた兄弟機である96号機が勝浦に保存されているそうです。さすがに遠いので見にいってはいませんが。98号機の写真を探していたら、何かの本(確か「岡山より汽車を求めて」)の広告写真中に出ていました。これは重見式暖メ器付きでしかも不思議なことにバッファーが付いていたと記憶します。初期のものでしょうか(ちなみにそれまで二次型には最初から同暖メ器は付いていなかったと思い込んでいました)。なお、同機は昭和36年に廃車となりました。(1999完, 2001.5.12記)



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